音楽への"homage"を主題として、思いつくまま気侭に書き連ねています。ブログ名はアルノルト・シェーンベルクの歌曲から
我が家何処や

我が家何処や

「今でも『橋(カレル橋)の塔』には、処刑されたチェコの貴族たちの首がぶら下がっているのでしょうか」
「とくに興味があるのは、ビーラー・ホラの敗戦と、三百年にわたる隷属です。(略)あなたたちは、三百年にわたる隷属(を耐えたこと)の歴史を、とても誇りにおもっているにちがいありません。(略)」
「—いつかわたしも、チェコの貴族たちが処刑された記念すべき場所(プラハの旧市市場。ビーラー・ホラの敗戦の結果、ここで1621年6月21日27人のチェコの貴族と市民が処刑された)や、残酷な奴隷状態を記念する有名な場所に、立ってみたいと思います。」

これはガラパゴス諸島に旅行に来たチェコ人夫妻が、海岸で大きくて黒い山椒魚と出会い、その山椒魚が(なんと)チェコ語で話した会話の一部。

山椒魚戦争 カレル・チャペック著 栗栖 継訳
ガラパゴス諸島にいるわれわれの友人
早川書房 ハヤカワ文

チェコ上院議長らの台湾訪問の様子がNHKで報じられていた。その際に、女性一人によって歌われたチェコ国歌が無伴奏(こういう状態をアカペラとはいわない)で流れ、耳を奪われた。

素晴らしい曲である、とあらためて思うのだ。

ただ、歌いだし(曲の最初)がサブドミナントで始まるのが少しばかり気になるといえば気になる。
歌詞を伴わず、つまりオーケストラなどの合奏で聴くと最初の部分は前奏と思ってしまう。

チェコ 国歌 「日本語訳」- Anthem of Czechia (Japanese)

この動画はカレル橋を映しているが、その先に見える塔が山椒魚が話していた塔である。

J. K. Tyl – Fidlovačka – Kde domov můj

劇作家・俳優ヨゼフ・カイェターン・ティル(1808-1858)による戯曲「フィドロヴァチカ/靴職人の祝日」の劇中歌としてフランティシェク・シュクロウプが作曲(1834年作曲)したものがチェコ国歌の源。

ドヴォジャークはこの旋律を序曲「わが家」作品62で引用している。

Česká hymna – Czech Anthem (Boni Pueri)

少年合唱団ボニ・プエリの澄み切ったハーモニーが素晴らしい。

少し特別な記録として

ヴァーツラフ・ターリヒ指揮
チェコ・フィルハーモニー
1939年6月13日プラハ国民劇場
プラハ、ブルノ、オストラヴァ、パリ、そしてオスロで放送された。この奇跡的にともいえる記録(レコード)はオスロの放送局へと電話回線で送られたものが録音されて残った。

1938年のミュンヘン協定により、チェコはナチス・ドイツに併合されており、その管理・監視下での演奏会。この日に演奏されたスメタナの「わが祖国」が終わると、聴衆の熱い拍手と自然に湧いてきた国家斉唱がそのまま収録されている。当時の人々の気持ちはどのようなものだったか……

付属ブックレットによると、このラジオ放送でアナウンスを担当した女性は、ユダヤ人であったため後に強制収容所で殺害されたという。

NAXOSミュージック・ライブラリーで視聴(30秒という制限あり)できる。お試しあれ。

ラファエル・クーベリックがプラハの春音楽祭のために祖国へ戻ったときの、喜ばしい記録。
恒例になっているように、スメタナの歌劇「リブシェ」のファンファーレに続いてチェコ・スロヴァキア国歌(ビロード離婚前だ)がチェコ・フィルハーモニーによって演奏される。ビロード革命において多大な貢献をしたヴァーツラフ・ハヴェル大統領も臨席。

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チェコ がんばれ

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